「どうして寂しいときに寂しいと言ってはいけないの?」
彼女が頭をこちらに向けるから、僕は彼女の頭をなでた。
彼女は今寂しいきもちなのだろう。
僕は、暗い気持ちでいっぱいだ。
『みんな不幸になればいい』
『誰でもいい、僕以外の人が不幸になればいい』
これらが僕の行動原理であり、思考パターンだった。
彼女はどうだろう?
彼女は、『寂しさ』というエネルギー、感情、パワーを持って僕に頭を差し出している。
僕がその頭をひっぱたくなんて考えもしていない。疑っていない。
ただ、寂しさの奴隷にでもなったように僕に頭を差し出している。
彼女はなんて美しいいきものなんだろう。
寂しさに満ちた陶器のようなその肌を震わせて僕にすがる彼女は僕の暗い内面を知らない。
「誰がそう言ったの? 寂しいときはいつでも言ってよ」
僕は仮面のような笑顔を彼女に向ける。彼女の顔は花が開くように綻んだ。
僕の表情筋が少し動けば彼女の心が満たされる。僕がほんの少し嘘をつけば彼女の寂しさは和らぐ。
それならば、それならば僕は自分の顔が自らのものでなくなったとしても微笑もう。
それならば僕はメモ帳に書いても覚えきれないほどの回数、いくらでも嘘をつこう。
僕の思考パターンは彼女には適応されない。彼女だけは死んでも僕と繋いでおきたかった。
そうだ、僕と彼女をつないでいたのは彼女の無尽蔵な『寂しさ』だった。
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彼女が寂しくなくなった日のことはいまでも覚えている。
彼女は、恋人を手に入れたのだった。それは、彼女の理想通りの恋人だった。
いつも彼女に寄り添って、僕の居場所はなくなってしまった。
彼女は、寂しくなくてはいけないのに!
僕は、彼女の寂しさを取り戻すための行動を始めた。
彼女は、寂しさを取り戻して、挙句、居なくなってしまった。
そんなはずではなかったのに。
どこにも、居なくなってしまった彼女の恋人が泣いて、ああ、これが僕の望んでいた不幸なのだなと仮面の下でほほ笑んだ。
○o。..。o○.。o○.。o○.。o○.。o○
気圧? のせいで気分が落ち込んでいるので、暗い文章しか書けません!
美味しいもの食べて寝よう!
あさの